髙橋修法律事務所

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離婚Q&A

年金分割とは

2018.02.01

離婚した時に夫婦の年金を分割できる制度が設けられたのは平成19年4月です。

年金分割という言葉は広がってきましたが、内容を知らなかったり、誤解している人がかなり多いようです。

夫の年金すべてが分割対象になると思いこんでいる妻がおられます。
分割するのは、夫が会社員なら厚生年金、公務員や私立学校の教職員なら共済年金の報酬比例部分です。国民年金や厚生年金基金などの企業年金は対象外です。

分割する対象期間は、2人が結婚してから離婚するまでです。別居期間は含みますが、独身時代は対象外です。

年金分割のための情報通知書をもとに、該当期間の2人の標準報酬総額を計算し、額の多い方が少ない方に差額を分割します。割合は50%を上限に夫婦で話し合って決めますが、合意できなければ家庭裁判所に審判や調停を申し立てます。これが平成19年4月に始まった合意分割制度です。

この離婚時年金分割は、婚姻期間中に会社員の夫を支えた妻の貢献度を年金額に反映させるなどの趣旨から設けられました。

しかし、この年金分割は、厚生年金を算出する基礎となる保険料納付記録を分割する制度で実際の金額を分割するわけでありません。例えば夫が300万円の年金を受給していれば、最大でその2分の1の150万円を現金で受け取れるものと誤解されがちですが、そうではありません。また、夫に年金が支給されるときに、その年金を分割して、夫と妻のそれぞれの口座に振り込まれるというものでは決してありません。

統計によりますと、増額される側の平均は月に3万2000円程度です。但し配偶者の年収が高く月に5万円程度増える人も結構いるようです。

離婚後の2人の年金額は分割された保険料納付記録を足したり引いたりして計算しますが、受給資格期間を満たしたうえで、生年月日と性別により決められている受給開始年齢に達しないと受け取ることは出来ません。
この分割された年金の保険料納付記録は、元の夫が亡くなったり、自分が再婚したりしても消えることはありません。それは年金の受給前でも受給後でも変わりません。

この合意分割とは別に、平成20年には専業主婦が求めれば、夫婦の合意がなくても夫の厚生年金や共済年金の半分が受け取れる3号分割制度が導入されました。

これも専業主婦は夫の年金の半分を無条件でもらえると思いがちですが、これも誤解です。この3号分割制度が適用されるのは、平成20年4月から離婚するまでの期間の夫の標準報酬総額に限定されています。従って、平成20年3月以前は対象外なので、合意分割する必要があります。

※上記の表は日本経済新聞から引用

制度の概要は以下のとおりです。
平成19年4月1日施行の合意分割

  平成19年4月1日以降に離婚した夫婦で、配偶者が婚姻期間中、会社員の厚生年金や公務員・教員の共済年金に加入していた場合を対象とします。自営業者の配偶者は年金分割請求できません。

 平成19年4月1日以降に成立した離婚の当事者の婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を、離婚時に限り、当事者間で分割できます。これにより、分割を受けた厚生年金保険料は自分で納めたものとされ、分割した厚生年金を直接受給できるようになります。

 分割割合(分割を受ける者の厚生年金の保険料納付記録の持分)は5割を上限とします。ただし、共働きで厚生年金に加入していた場合には、分割を受ける側の取り分は、結婚期間の保険料に相当する厚生年金を夫婦で合算した額の半分が限度になります。

  夫婦が分割割合について合意の上、社会保険事務所に年金分割の請求を行います。

 合意に至らない場合は、裁判所の調停などで分割割合を定めることになります。

 分割請求は離婚後2年以内にしなければなりません。

  分割を受けた者の受給開始年齢から死亡まで年金が支給されます。分割を行った配偶者が死亡しても、分割を受けた配偶者の厚生年金の支給には影響しません。

8 分割は厚生年金(報酬比例部分)の額のみに影響し、基礎年金の額には影響しません。

 なお、法律上の婚姻関係がない事実婚でも、配偶者の一方(主に妻)が第3号被保険者として認められていた期間に限り、他の一方(主に夫)が納めていた保険料に基づく年金の最大5割を受け取れるようにするとの厚生労働省の方針が報道されています。

 

平成20年4月1日施行の3号分割
 配偶者の一方(主に夫)が会社員で他の一方(主に妻)が専業主婦の場合、配偶者の一方(主に夫)が負担した保険料は夫婦共同で負担したものであることを基本的認識とし、この点が法律上明記されます。

 平成20年4月1日以降に離婚する、配偶者の一方(主に夫)が会社員等で他の一方(主に専業主婦である妻)が第3号被保険者である夫婦を対象とします。

 配偶者の一方(主に妻)(第3号被保険者)が、社会保険事務所に対して年金の分割請求の手続きをとると、その手続きをとった月から離婚までの期間に限り、離婚当事者間で分割割合の合意がなくても、夫の厚生年金の半額が支給されます。

 夫が行方不明になったなどの場合にも適用があります。ただし、妻が共働きである場合や夫が自営業者である場合には、この制度は適用されません。

 

年金分割のための情報通知書
年金分割の受給権者は所轄の社会保険事務所に対して「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」を請求でき、又、「年金分割のための情報通知書」の交付も請求できます。

髙橋修法律事務所では、離婚事件を多数扱っていますので、ご遠慮なくご相談下さい。