1 社外取締役の選任
平成26年の会社法の改正により社外取締役の規定が定まりました。この改正は、大企業はもちろん中小企業にも重要な影響を与える内容が含まれています。
社外取締役は、社内の指揮命令関係の影響を受けない立場で発言することで、会社の経営を健全に維持する役割が期待されます。そのため資格要件として会社関係者でないことが要求されます。
平成26年の改正では、社外役員になれない人的範囲が拡げられ、これまでより一層社外性が求められることになりました。しかしその一方で、過去に会社関係者となったらその後いつまで経っても社外役員となれないとするのも不合理なので、期間制限も設けられました(改正会社法2条15号、16号)。
また、社外取締役に会社経営の健全化の役割を期待する考えが強いことから、公開会社で、かつ大会社である上場企業等の監査役会設置会社においては、社外取締役を置いていない場合、社外取締役を置くことが相当でない理由を株主総会で説明する義務が課されました(改正会社法327条の2)。
公開会社とは、株式の全部又は一部に譲渡制限を設けていない会社であり、大会社とは、資本の額が5億円以上又は負債の額が200億円以上の会社です。
具体的な社外取締役の資格要件の改正内容は次のとおりです。
それまでの会社法は、社外取締役の資格要件として、
(1)当該会社又はその子会社の「業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人」でなく、かつ、
(2)過去に当該会社又はその子会社の業務執行取締役等となったことがないものとしていました。
平成26年の改正では、この(1)に、
・当該会社の経営を支配している個人、又は親会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと、
・親会社の子会社(当該会社を除く)の業務執行取締役等でないこと、
・当該会社の取締役、支配人、その他の重要な使用人又は支配個人の配偶者、二親等内の親族(親子、兄弟姉妹等)ではないこと、
が加わりました。
他方、(2)については期間制限が設けられるなどし、社外役員に就任する前10年以内に、当該会社又はその子会社の取締役、会計参与、執行役、支配人その他の使用人であったことがないこととされました。これは資格要件を緩める内容です。
この改正とCGC(コーポレートガバナンスコード)の運用開始により、上場会社では社外取締役の選任が事実上義務づけられ、1名ではなく複数名、できれば取締役会の3分の1以上の選任に取り組むべきとされています。
その結果、平成29年7月時点で、東証上場会社で2名以上の社外取締役を選任している会社は88%、取締役会の3分の1以上の社外取締役を選任している会社は27.2%に及んでいます。
2 社外取締役の役割
大きくは次の2つにあります。
① 経営陣幹部・取締役の指名・報酬の決定への関与
② 取締役会の審議を通じた業務執行の監督
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