髙橋修法律事務所

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検察庁法の改正

2020.05.11

コロナ禍の最中に、検察庁法改正の動きがあります。

現在63歳の検察官の定年を65歳に引き上げ、検事長などの検察幹部は63歳で退く「役職定年」を設け、その年齢を過ぎても内閣が必要と認めれば、さらに3年定年延長して役職にとどまれるとする内容です。

検察官の定年を引き上げること自体は問題ない。問題は内閣の判断で定年延長できるとする点です。

そして、黒川検事長の定年延長という個別の人事との関係で言うと、話がややこしくなる。

検察庁法で63歳で定年と明確に定められているのに、定年延長を認めた国家公務員法は検察官にも適用があるなどと法解釈の変更の名のもとに今年1月に閣議でごり押しで黒川検事長の定年延長を決めました。

検事総長や検事長など検察トップの任命権はもともと内閣にあるが、次の検事総長を誰にするかという具体的な人事は検察庁の内示に従って、そのまま任命してきたのが従来の慣例です。その慣例を破って、黒川検事長の定年延長を閣議で無理やり決め、次の検事総長に据えるつもりだとして問題化した。

この法律改正が先に成立し施行したうえでの黒川検事長の定年延長なら問題とならかったのでしょうが、今年2月に63歳の定年を迎えた黒川検事長には時間的に間に合わなかったので、ごり押しで法解釈の変更をしたものだから、おかしなことになった。今回の法改正が前の違法な閣議決定を後で正当化するものだと言われる理由である。

それにしても、このようにおかしなことまでして定年を延長し、今後検事総長になるかも知れないという黒川検事長という人物は、よほど安部政権に気に入られているということなのか。

時の政権が意のままに検察トップの人事を操ることが可能となり、検察の独立性を大きく損ね、ひいては起訴の権限をほぼ独占している検察官が政権の意向を忖度して起訴、不起訴の権限を行使することを危惧するのは法曹関係者だけでない。