これは酷い。
新型コロナウィルスの大変な騒ぎのため隠れて目立たないが、黒川東京高検検事長の定年延長をめぐる問題です。
検察庁法で検事総長以外の検察官の定年は63歳と定められている。しかし、今回政府は定年延長を可能とする国家公務員法は検察官にも適用があるとする法解釈を行って黒川検事長の定年延長を認めた。
検察官は国家公務員であるが、その身分については一般法である国家公務員法でなく、特別法である検察庁法で退官の定年が明確に定められている。
特別法は一般法に優先するという理屈もあるが、法律で定めた定年を内閣の裁量によって延長できることを許すと、疑念を持たれているように政府に好ましい検察官を検察のトップとすることにつながる。
法律の解釈をめぐって争いがあるような場合は別だが、法律で明確に定め、定年延長を定める国家公務員法は検察官には適用されないという長年の解釈を簡単にひっくり返し、「解釈」の名のもとにごり押しする今回のやり方は、法治主義や法の支配の理念にも反するし、検察官の独立性を大きく損ねることにつながることになる。政治信条とは関係なく、多くの司法関係者がこれは許されないと憤るのは当然である。