検察の強い反対を押し切って裁判所は日産の元会長、カルロス・ゴーン被告の再保釈を認めました。
検察幹部は、裁判所がゴーン被告が事件関係者への働きかけを企てたことを認め、罪証隠滅の疑いがあるとしながら、保釈を決めたことは矛盾していると裁判所を非難する異例のコメントをしています。
昨年11月の突然の逮捕からこれまでの一連の刑事手続で、検察の威信・面目をかけた捜査とそれに徹底抗戦する弁護側の必死の攻防が繰り広げられましたが、逮捕・勾留された人物が著名な外国人経営者であったため、日本の刑事手続がこれほど注目を帯びたことはないかも知れません。
刑事訴訟法では、保釈を認めるのが原則で、例外的に証拠隠滅のおそれなどがある場合に認められないとされています。しかし、実際には被告が起訴事実を否認する場合、保釈が認められずに長期勾留となることが多く、運用は原則と例外が逆になっています。これが「人質司法」と批判される所以です。
しかし、最近は保釈を認める基準が緩和され、起訴後に保釈が認められる割合が増えているとされます。
裁判所は、単に人質司法の批判を避けるため今回の保釈を認めたわけでないと思います。
それにしても、この事件は「生きている刑事訴訟法」として、刑事手続を考える格好の勉強材料となり、これから始まる裁判が面白く(?)なります。