弁護士ドットコムからメール配信されるニュースによると、全国の13の単位弁護士会が司法試験合格者をさらに減らすよう共同声明を出したとのことです。現在、司法試験の毎年の合格者は約1500名です。私が合格した時は毎年500名ですから3倍の合格者です。
合格者のほとんどは弁護士になるわけですから、全国の弁護士の数はここ10数年間、うなぎ上りに増え続け、私が所属している大阪弁護士会は今や4500名の会員がいます。私が弁護士になった頃の3倍、司法改革が叫ばれた10数年前と比べても2倍の会員です。受験者数に対する合格割合も昨年は30%弱に上がり、弁護士の質の低下も言われています。
共同声明では、現在の法曹養成数が「供給過多にある」とし、民事訴訟事件の新受件数の減少(2003年352万件、2016年147万件)に触れ、「新しい活動領域の拡充も、供給の増加を吸収する規模には至っていない」と指摘しています。
10数年前、いわゆる小泉改革の一環で、法科大学院を新設し、社会の隅々に弁護士を行き渡らせるというスローガンのもと、司法試験合格者を毎年3000名まで増やすという司法改革の旗がふられました。しかし、当時足りないのは過疎の地域の弁護士であり、専門化した弁護士でしたが、町の一般の弁護士の数が少ないと感じたことは全くありませんでした。その後、さすがに弁護士が増え過ぎて自分たちの首を絞めることに気づいて合格者数を減らすようになり、現在の1500名に落ち着きました。
ここ10数年間の弁護士の様変わりは激しく、弁護士では生活できないと、若い人だけでなく、同じ年配の弁護士でも事務所を畳んだ人も何人かいます。過当競争による弁護士報酬の低廉化など、司法試験合格者と弁護士の数の激増は弁護士にとって良いことは何もなく、司法改悪と言っても過言でありません。