髙橋修法律事務所

      相談料は基本5,000円(税込)
 06-6361-6257

blog

契約社員の手当・休暇格差は「不合理」

2020.10.16

日本郵便の契約社員に扶養手当や夏期冬期休暇などを与えないことが許されるか争われた事件で、15日に最高裁第1小法廷は、扶養手当は継続して働く正社員への生活保障といった性格があり、契約社員も継続的勤務が見込まれるなら支給対象になる、年末年始勤務手当は最繁忙期の休日に働いたことが支給条件で、趣旨は契約社員にも当てはまるなどとして、結局住居手当、夏季冬季休暇、有給の病気休暇の5種類の手当・休暇全てについて、労働契約法旧20条(同条はパートタイム・有期雇用労働法に移管)が禁じる「不合理な待遇格差」があたると判断しました。

13日に最高裁第3小法廷は、非正規従業員に退職金と賞与を支払わないことが争われた別の訴訟で、正規社員と非正規従業員の業務内容が異なることを理由に、「格差は不合理ではない」と判断しています。

このように判断が分かれたのは、支給目的や性格が明確な手当・休暇に比べ、退職金や賞与は支給目的や性格が多様で複雑であることが指摘されています。

非正規従業員の待遇の格差を巡る今回の一連の最高裁の判断は、不合理な格差かどうかを企業が判断する際に大変参考になります。

経営者は、正社員と非正規従業員に不合理な格差が生じないよう努力し、格差がある時は非正規従業員の納得が得られるよう理由を説明する必要があります。